ウシ卵子透明帯中の精子レセプターについて、その構造および分布状態について調べた。 1)未分別の透明帯糖タンパク質のプロナーゼ消化物および還元カルボキシメチル化物について、精子-卵子阻害活性を測定した結果、精子レセプター活性は糖鎖にあるが、タンパク質のコンフォメーションも活性発現に必要なことがわかった。 2)未分別の透明帯糖タンパク質から得たN-グリコシド糖鎖に含まれる、唯一の中性糖鎖である高マンノース型糖鎖が精子レセプター活性をもつこと、この糖鎖は構成3成分(ZPA、ZPB、ZPC)のうちの一成分に偏在しているのではなく、少なくともZPAとZPBには存在していることを明らかにした。 3)次に、アルカリ処理によるO-グリコシド糖鎖の単離を試みたが、N-グリコシド糖鎖の一部も遊離してしまい成功しなかった。レクチンカラムを駆使してN-グリコシド糖鎖を除去した残りのO-グリコシド糖鎖には活性が無かったが、得られたO-グリコシド糖鎖の収量が低いため、N-グリコシド糖鎖のみに活性がある、との結論には至らなかった。 来年度は、ウシの精子レセプターの活性部位の構造解析に進む予定である。
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