DUFは、二重鎖DNAに結合して二重鎖に負にひねりを加え、二重鎖を局部的に開く活性を持つ因子として、筆者らによってXenopus卵抽出液から初めて精製された因子である。DUFは、出芽酵母のCdc68の類似体とSSRPl(シスプラチンによって修飾されたDNAに結合する因子)とのへテロ二両体である。S期のXenopus卵無細胞抽出液に、精子クロマチンあるいはプラスミドDNAを添加すると、これらを鋳型としてDNA複製が起こる。この系を用いて、DNA複製におけるDUFの機能を解析した。抗-DUF抗体を用いて、卵抽出液からDUFを除くと、精子クロマチンを鋳型としたDNA複製活性が著しく減少した。これに精製DUFを加えると、複製能の回復が見られた。このことからDUFが卵抽出液におけるDNA複製に必須であるがわかる。精子クロマチンを卵抽出液に加えると、クロマチンが膨潤し、次いで、核形成が起き、DNA複製が行われる。卵抽出液中のDUFは核形成時またはそれ以後、かつ、DNA複製開始以前に核に取り込まれ、クロマチンと結合することがわかった。抗-DUF抗体を用いた沈降実験により、p97ATPaseがDUFと相互作用するということがわかった。p97ATPaseもDUFとほぼ同じ時期に、再構成された核に取り込まれた。p97ATPaseは細胞質において膜の融合に関与するとされてきたが、核内でDNA複製にも関与することが示唆される。DUFを含む卵抽出液中で再構成されたクロマチンDNAは、抗-DUF抗体をもちいてDUFを除いた卵抽出液中で再構成されたクロマチンDNAよりもヌクレアーゼ感受性が高いことが判明した。さらに、DUFはヒストンに対して強い親和性を示した。DUFはDNAおよびコアヒストンと相互作用して、DNA複製に必要なゆるんだクロマチン構造を作る作用を持つということが示唆される。
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