Rhoをはじめとする低分子量GTP結合蛋白質が、カスケード的に働いてアクチン細胞骨格の再編成を介して種々の細胞機能を制御している可能性が示唆されている。本研究では、この低分子量GTP結合蛋白質カスケードの分子機構について解析し、以下の成果を得た。 (1) RHO1の活性制御機構:RHO1のGDP/GTP交換反応促進蛋白質であるROM1/ROM2と相互作用する蛋白質系を単離し、その機能を解析した。 (2) RHO1の作用機構:RHO1の標的蛋白質であるBNI1に結合するSPA2と、SPA2に結合するSHS1を見出した。SPA2はBNI1の局在に、SHS1は新規セプチンとして細胞質分裂に、それそれ重要な役割を果たしていた。 (3) BNR1の作用機構の解析:BNI1に類似するBNR1(BNI1-Related)に結合する蛋白質としてSH3ドメインを有するHOF1を見出した。BNR1もHOF1も細胞質分裂部位に局在して細胞質分裂の制御に関与していることが明らかとなった。 以上のように、本研究において、RHO1を介する低分子量GTP結合蛋白質カスケードの上流および下流について解析し、その分子機構について新しい知見を得ることができた。
|