Goosecoid遺伝子はアフリカツメガエルの原口背唇部に発現され、Spemannのオルガナイザーとして働く。そしてこの遺伝子はアフリカツメガエルの胚で背側化効果を持つ。我々はこの遺伝子を赤芽球系細胞に発現させるとアクチビン反応性のへモグロビン産生誘導が阻害されることを見い出した。また、我々はレチノブラストーマ(Rb)とgoosecoid蛋白質に結合している38-40kDaの分子がアクチビン刺激すると減少すること、およびこの分子はPU.1であり、Rbもgoosecoid蛋白質もこの分子のN末に競合的に結合することを発見した。さらに、N末PU.1またはPU.1をgoosecoid遺伝子と同じプロモーターの支配下に発現することで上述の赤芽球のgoosecoidによる分化抑制は解除された。他方、我々は神経堤細胞由来であるラット褐色腫細胞株PC12にgoosecoid遺伝子を発現させると、NGF反応性の神経突起伸長が促進されることを見い出した。このとき、神経突起に強く発現しているニューロフィラメント-LとMAP-1bの発現が増強されていた。また、goosecoid遺伝子は赤芽球のDNA合成期の細胞の割合には影響をほとんど与えないが、PC12細胞にはDNA合成期の細胞を減少させる効果をもった。サイクリンD1はNGF刺激で増加することが報告されているが、goosecoid遺伝子はPC12細胞のサイクリンD1発現に影響をほとんど与えなかった。
|