粘菌アメーバにランダムなプラスミド挿入突然変異を引き起こした後、ランダムな変異細胞集団中から浸透圧ストレスに対する反応に変異のある細胞を選択的に濃縮した(第1段階)。そして、多数の変異株の浸透圧に関する性質を一度に調べる方法を確立した(第2段階、数十コロニーくらいを一度に解析できる)。第一段階の濃縮されたコロニーを第二段階の方法により調べたところ、濃縮されたコロニーの約半分が浸透圧に関する変異を持つことがあきらかになった。さらに、変異株の一つから遺伝子を回収することに成功した。ところが、98年9月に-70度C超低温庫が故障し、つくった変異株が失われた。そこで、再度REMIを実施し変異株の濃縮・選択を行い、予備実験で確立した方法により浸透圧に関する変異株をとっている。98年2月現在とれている変異株の性質は多様であり、例えば増殖速度に関して高張・等張・低張培地で速くなるもの、遅くなるもの、変化しないものが様々な組み合わせで出現している。また、一部の変異株は発生分化にも異常が見られた。 今後、浸透圧に関する突然変異株を数十取った後、遺伝子解析をする予定である。表現型から推測して多様な遺伝子が破壊されているようであり、未知の遺伝子の機能がわかってくることが期待される。
|