C末端アンカー型膜蛋白質は、シグナル配列を持たず、C末端の疎水的領域で膜にアンカーする蛋白質であり、種々のオルガネラに分布して、様々な重要な細胞機能を担っている。私達は、これまで、C末端アンカー型膜蛋白質の局在化機構を解析し、ミクロソーム型アルデヒド脱水素酵素(msALDH)の小胞体局在化シグナルが、そのC-末端35アミノ酸残基内にあること、シンタキシン1の細胞膜局在化シグナルが、そのC-末端24アミノ酸残基内にあることを明らかにした。 本年度は、緑色蛍光蛋白質GFPのC末端にmsALDHのC-末端35アミノ酸、あるいはシンタキシン1のC-末端24アミノ酸を付加したキメラ蛋白質をCOS細胞とNRK細胞に遺伝子導入し、その細胞内分布を解析した。その結果、msALDHのC-末端を持つGFPキメラ蛋白質の蛍光は、小胞体に局在し、シンタキシン1のC-末端を持つそれは、ゴルジ体と細胞膜に分布し、それぞれが局在化シグナルとして働いていることが確認された。フッ化アルミニウム処理により小胞体-ゴルジ体間のリサイクリングを阻害しても、GFP/msALDHキメラの分布に変化がないことからGFP/msALDHキメラは静的に小胞体に残留すると考えられる。
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