1細胞外マトリックスが形態形成に及ぼす影響 メソグリアの欠失と形態形成に部域的な相関が強く認められたことから、形態形成に関して何らかの役割を担うことが強く示唆された。一方、メゾグリアの欠失はそれ自体の再合成を活性化し、欠失を解消する方向へと展開した。そこで、メゾグリア再合成と形態形成の相関を調べるために次の実験を行った。ヒドララミニンB1 chain遺伝子のmRNAと相補的な配列を持つチオオリゴヌクレオチドを合成し、細胞内へエレクトロポレーションによる導入を試みた。これは、理想的にはラミニンB1 chain遺伝子と相同部分の結合による遺伝子発現の阻害をもたらし、この遺伝子の擬似的なノックアウトにつながるはずである。仮にこのラミニンB1 chainの新たな合成がヒドラ頭部再生などの形態形成にとって必須であれば、遺伝子のノックアウトは形態形成のノックアウトに直結するはずである。この実験、および、同様の目的のためにRNAi法を用いた二重らせんのRNAの導入の結果、ラミニンの発現が予測通りに低下することを明らかにした。更にこの低下した個体では、頭部再生が有意に低下するのが認められ、このラミニン遺伝子の発現が形態形成に影響を及ぼす可能性が強く示唆された。 2細胞外マトリックスが神経網形成、上皮細胞増殖に及ぼす影響の解析 ヒドラメソグリアの合成を選択的に阻害する効果がある薬剤やメソグリア成分に対する抗体、及び外科的手法でメソグリアを欠失させた個体を作成し、欠失部分の神経網形成、細胞増殖に細胞外マトリックスが直接関与しない可能性を支持する。
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