今年度はカドヘリン-4(C4)を取り上げ、その細胞内ドメインおよびそこに結合している分子の生理的役割について検討した。C4は細胞内ドメインを除いても弱いながらCa^<2+>依存性のクラスタリングおよび細胞接着活性を示し、C4は細胞外ドメインのみでもカドヘリンとしての最小限の活性を有することが判明した。おそらくクラシックカドヘリンの場合、カドヘリンの細胞間接着面への局在化(およびそれに伴う強い細胞接着活性)は細胞内ドメインがβ-カテニンを介してアクチンフィラメントに結合することによりはじめて可能になるものと考えられる。また、カテニンの一種p120ctnに対する結合部位を欠失させたC4はその局在化や細胞接着活性に大きな変化を示さなかったが、リン酸化に伴う細胞接着活性の低下が見られなくなった。したがって、p120ctnはC4の細胞接着活性を阻害する活性を持つことが考えられる。またこのことはp120ctnがリン酸化を介してカドヘリンの細胞接着活性の調節一般に関与している可能性を示唆している。
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