本研究は新しく同定されてきたカドヘリンがどのような細胞内分子と相互作用を行なっており、どのような機能を担っているかを明らかにする目的で行なった。 まず、カドヘリン-4と-5を用い、これまでに知られている分子に加え、新しい分子が相互作用をしていることを明らかにした。次に、細胞内ドメインの機能を明らかにする目的で各種カドヘリンを作製しその性質を検討した結果、細胞内ドメインは個々のカドヘリンに特有な機能を規定しているとする仮説を支持する結果が得られた。さらに、カドヘリンはp120ctnを介したセリン/スレオニンのリン酸化による調節を受けている可能性が示された。また、新しく同定したOL-プロトカドヘリンの研究も進め、その基本的性質を明らかにした。その結果、OL-プロトカドヘリンはPDZドメインも持つ分子と結合するモチーフを持ち、神経系においてシナプスに局在していることが示された。この分子は特定の部位に発現していることから、神経系の構築やその維持を行なっていることが示唆された。
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