1. 孵化酵素に関しては、アフリカツメガエル初期胚の外植体を作製し、孵化腺細胞の分化機構に関する解析を行った。嚢胚期のアフリカツメガエル胚から、外胚葉および中胚葉を実体顕微鏡下で切り出し、外胚葉を単独、あるいは外胚葉と中胚葉を組み合わせた。手術を施さなかった対照胚が、孵化期に達するまで培養した外植体は、固定した後孵化酵素を特異的に認識する抗体を用いて染色し、孵化腺細胞の有無を調べた。2.輸卵管直部由来のプロテアーゼについては、ヒキガエルを材料に用いて、N末端のアミノ酸配列と、セリンプロテアーゼに特徴的なアミノ酸配列からデジェネレートプライマーを作製した。輸卵管直部から抽出したRNAを鋳型にRT-PCRを行い、プライマーに挟まれた領域をクローニングした。得られた570塩基対から予想されるアミノ酸配列は、アフリカツメガエルのオビダクチンとして報告されている配列と相同性が高かった。しかし、オビダクチンの全アミノ酸配列はいかなる種においても依然明らかにされていない。そこでこのcDNAをプローブとして、ヒキガエル・オビダクチンの全長cDNAを釣り上げることを試みている。現在までにクローンを得るは至っていない。その原因として、ライブラリーに利用したRNA中に含まれる、オビダクチンのメッセンジャー量が非常に少なかったことが予想されるた。この点を改善するため、才ビダクチン・メッセンジャーの相対量を増やすことを試みた。その結果、生体より切り出した輸卵管直部を生殖腺刺激ホルモンで処理すると短時間の内にオビダクチン転写量に著しい増加が見られることが判明した。現在、上述の方法でオビダクチンmRNAを多量に含むcDNAライブラリーを作り直し、全長cDNAの単離を再度試みている。
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