研究概要 |
MSG1遺伝子座のクローニング:T-DNA挿入によるmsg1変異体(msg1-8)には3カ所にT-DNAの挿入があった。同変異体を戻し交雑して得たF2世代約200個体についてオーキシン耐性とカナマイシン耐性との連鎖を調べた結果、この二つの表現型が強く連鎖しているという結果を得たので、1カ所のT-DNA挿入を持つF3個体を選んで、その挿入部位周辺のゲノムをクローニングした。その結果、ある遺伝子の転写単位の外側にT-DNAが挿入していること、この挿入とオーキシン耐性とは完全には連鎖していないことが分かった。以上の結果から、msg1-8変異はT-DNA挿入によるものではないと結論した。 T-DNA挿入変異体のスクリーニング:DuPontやINRAのコレクションをスクリーニングし、3個のオーキシン耐性変異体を得た。これら変異体は現在戻し交雑中で、オーキシン耐性とカナマイシン耐性との連鎖をこれから調べる予定である。 オーキシン極性輸送と輸送体に関する分子生理学的研究:3種類のオーキシン、NAA、IAA、2,4-Dの屈地性に対する効果を比較することによって、オーキシンの流入担体の働きを推定することができることを発見した。その結果、aux1変異体の原因遺伝子AUX1は根のオーキシン流入担体遺伝子であることが分かった(Yamamoto & Yamamoto,1998)。msg1も茎特異的オーキシン担体異常ではないかとも考えられていたが、この方法を適用した結果、そうではないことが分かった。
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