マボヤを用いて卵-精子相互作用の分子機構を総合的に探る一環として精子-卵結合に関わる卵黄膜上の糖鎖と精子表面のグルコシダーゼに着目し、研究を行った。 マボヤ卵黄膜から糖ペプチドを得た後、ヒドラジン分解を行い遊離した糖鎖を分子サイズによリFr.IとFr.IIにわけたところ、精子結合リガンドとしての活性はFr.Iに回収された。Fr.Iはさらに中性糖鎖と酸性度の異なる2種類の酸性糖鎖に分画でき、この活性は酸性度の強い酸性糖鎖に強い活性が見られた。この活性を示す酸性糖鎖は硫酸基がついており、脱硫酸によりこの活性は失われた。また、この主要酸性糖鎖は共通構造単位を持ち、-4XyI1-3GaINAc1-及び-4XyI1-3GaINAc1-(4SO_4)-という構造を含むことが明らかとなった。 一方、卵-精子結合の精子側の因子としてはα-L-フコシダーゼが関わることがわかっている。そこで、精子α-L-フコシダーゼcDNAの単離を行い、全長配列を決定した。シグナル配列を含む466残基のアミノ酸配列をコードしていた。このcDNAに対する抗体は52kDaの精子タンパグ質と反応し、受精の系にこの抗体を加えることにより受精が阻害することがら、このcDNAが受精に深く関わることが示唆された。
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