研究概要 |
RGD配列ペプチドの卵リセプター分子とシグナルトランスダクション 卵細胞表面に存在すると考えられるRGD配列ペプチドに対するリセプター分子を明らかにするため、マウス卵での精子結合に重要なインテグリンα_6β_1がツメガエル卵細胞膜上に存在するかを調べた。予め卵細胞表面をビオチン化した卵からビオチン化タンパク質を抽出して抗α_6インテグリン抗体と抗β_1インテグリン抗体を用いてイムノブロットにより検出した。α_6サブユニットとβ_1サブユニットともに卵には存在するが、卵細胞表面には少なく、RGD配列を認識するレセプターは他のインテグリンの可能性が高い。また、予め卵細胞表面をビオチン化した卵を卵付活を誘起できるイモリ精子プロテアーゼで処理すると約67kDaのビオチン化タンパク質が遊離したので、これがRGD配列を認識するレセプターである可能性も考えられる。 最近、我々はツメガエル卵の付活におけるシグナルトランスダクションにはSrcファミリーのタンパク質チロシンキナーゼ(Xenopus tyrosine kinase,Xyk)が関与することを発見した。Xykは精子とRGD配列を含むペプチドでは活性化されるが、Caイオノフォアでは卵付活が起きるにも関わらず、活性化しない。また、Xykの活性を特異的阻害するA7ペプチドが卵付活を効果的に阻害することも分かった。これは、精子にRGD配列を含むアゴニストがあり、卵との結合時にXykを活性化して卵内Ca上昇を引き起こしていること示している。 今後はRGDレセプターと精子プロテアーゼとの相互作用について研究を進めると共に、研究計画に沿って卵付活のシグナルトランスダクションの分子機構を詳細に調べる予定である。
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