op/opマウスを用いた頭蓋冠破骨細胞の形成過程の解析 破骨細胞は単球系の細胞で骨組織のリモデリングに必須の細胞であり、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)により骨髄中の幹細胞から分化した前駆細胞が、骨組織に到達して最近発見されたOPGLの作用などにより多核の細胞に成熟するとされているが、生化学的な解明は十分になされていない。骨代謝異常を起こす大理石病マウス(op/op)では、M-CSFの遺伝子変異によりマクロファージや破骨細胞が形成されない。我々は、脳内マクロファージであるミクログリアの中に、M-CSF依存性のものと、非依存性でERMP抗原陽性の亜型があること、かつop/opマウスには後者のみ含まれることを見い出した。ERMP抗原陽性細胞は骨髄中の幼若な細胞に共通の性質であることから、脳内のERMP陽性のミクログリアあるいはその前駆細胞が、破骨細胞に分化する可能性が考えられた。そこで、op/opと、+/?(野生型)のグリア混合培養から別々に、ミクログリアを単離、培養したが、破骨細胞の指標である酒石酸耐性フォスファターゼ(TRAP)活性陽性細胞は検索されなかった。次に頭蓋冠および対照として大腿骨の組織染色によりop/opと、野生型の異同について調べた。生後直後の骨切片のTRAPはいずれもop/opで陰性、野生型では陽性であった。一方、頭蓋冠中の破骨細胞の存否を明らかにするために、生後直後のマウス頭蓋冠を13日間培養TRAP染色したところop/opで野生型と同様に陽性に変化した。この実験系は充分に洗練されたものではないが、破骨細胞の分化成熟過程にある迂回路についてin vitroで解析が可能であることを示唆していると考えられる。
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