研究課題/領域番号 |
09680738
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
高橋 均 新潟大学, 脳研究所, 教授 (90206839)
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研究分担者 |
若林 孝一 新潟大学, 脳研究所, 助教授 (50240768)
山田 光則 新潟大学, 脳研究所, 助教授 (30240039)
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キーワード | 色素性乾皮症 / コケイン症候群 / ノックアウトマウス / 中枢神経系 / 神経病理 / 免疫組織化学 / 神経発生 / 細胞死 |
研究概要 |
色素性乾皮症(XP)およびコケイン症候群(CS)は、いずれもDNA修復機構に異常のみられる疾患であり、進行性かつ重篤な精神神経症状を呈する。本研究では、A群XP遺伝子をノックアウトしたXPA^<-/->マウスとB群CS遺伝子をノックアウトしたCSB^<-/->マウスを交配、そこから生まれたマウスについて神経病理学的に解析した。対象は生後12日の幼若マウス11匹。このうち3匹は体重(平均3.79g)、脳重(平均0.26g)ともその他の8匹(それぞれ平均6.09g、0.32g)より小さく(それぞれP=0.0001、P=0.0005)、また瞼を閉じ、歩行が不安定という症状を示した(遺伝学的にXPA^<-/->CSB^<-/->であった)。全11匹について、大脳、脳幹、小脳および脊髄を組織学的に観察したが、全例で皮質、白質、神経核等の構造に、また種々の部位における神経細胞の形態、配列にも明らかな異常は指摘できなかった。免疫組織化学的には、neurofilament、GFAPを指標に軸索、アストロサイトの変化を検索したが、全11匹に明らかな質的異常は見出せなかった。また、synaptophysinでみたシナプス末端の密度も個々のマウス相互間にとくに差異は指摘できなかった。 今回、XPA^<-/->CSB^<-/->マウスについて免疫染色を用いて光顕的に検索したが、明らかな異常は指摘できなかった。しかし、これらマウスでは有意に脳が小さい(microcephaly)ということは重要な事実であり、問題の遺伝子は神経発生初期の母細胞の分裂増殖・細胞死に何らかの重要な役割を担っており、その欠如は脳細胞の減少に帰結することが示唆された。また、歩行障害等の症状については、今回の検索からでは看破できない超微形態レベルの異常、あるいはある種の神経機能蛋白への影響を考えられ、次年度はこれらの点を検討、吟味したい。
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