研究課題/領域番号 |
09680739
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
工藤 基 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (80108141)
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研究分担者 |
河野 純 金沢大学, 医学部, 助手 (80251924)
北尾 康子 金沢大学, 医学部, 助手 (00019613)
尾小山 重雄 金沢大学, 医学部, 講師 (30019575)
黒川 清 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (40215083)
山田 久夫 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (00142373)
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キーワード | 上オリーブ核 / 神経発生 / 聴覚器 |
研究概要 |
哺乳類の上オリーブ内側核(MSO)は両耳機能を司り音の時間的あるいは強度的音質的差異を特異的に検出する特徴抽出器官としての働きをしている。トリのlaminaris核と相同と目されている。本研究課題ではその発生過程と分化を多方面のアプローチによって探った。1)BrdU法を用いた神経発生学:MSOは胎生12日に九割以上のニューロンが発生することを発見した。これらの細胞は、当初考えていたように脳幹背側部から腹側部に特別な経路を通って細胞移動がおこるものではないことが判明した。したがって脳幹背側部にあるトリのlaminaris核と相同かどうか依然不明である。2)各種線維連絡結合法:ラットでは軸索の進展が三分の一は生下時,のこりは生後一週間の間におこることがわかった.なおTetanus-toxin C fragment, Cholera-toxin、Dextranなどの神経トレーサーの特性をモグラの視覚中枢をもちいて検索し、各々の特性がわかった。3)MSOに特異的発現蛋白の検索:残念ながらマーカーとしてMSOを追跡することのできる物質や遺伝子を研究期間内に発見できなかった.将来への課題である。4)比較解剖学:ラット等通常の実験動物の他ネコやモグラをもちいた。ネコ等の視覚中枢では従来考えられていたより、おおくの線維連格上の変異が証明できた。視床-大脳皮質結合が、いわゆる個体差として従来解釈されていた以上の変異があることがわかり、脳の学習や生後体験による可塑性がきわめて大きいことが示唆された。5)聴覚脳幹レベルの再生と可塑性について、本研究で得られた成果を発展させてMSOのある下位脳幹レベルだけでなく、上位の下丘一内側膝状体系の可塑性について調べた。その結果動物(ラット)の生理学的聴覚発現の起きる時期に一致して活性物質(AChE,Calbindin)などの発現制御がおこなわれるという画期的な発見をした.視覚系でも同様の活性物質(Calbindin)の発達発現を調べた.
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