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オリゴデンドロサイトは、中枢神経系における髄鞘形成細胞である。その生体内における発生過程の詳細については、不明な点が多い。我々は、単クローン抗体O4をニワトリ胚神経組織の切片に用いることにより、オリゴデンドロサイトの発生を非常に幼弱な時期から追跡できることを示してきた。本研究においては、同様な手法により、視神経におけるオリゴデンドロサイトの起源や移動について明らかにすることを目的とした。まず、O4を用いてニワトリ胚の視神経および間脳領域でのオリゴデンドロサイトの前駆細胞の出現様式を、免疫組織化学的に調べた。O4陽性細胞は、ふ卵4日目(E4)より視交叉の背側に隣接する脳室層(第3脳室の底部)の正中部に限局して出現した。E5には陽性細胞は、その部位に限局した細胞集団を形成し、E6よりここから視交叉および視神経に遊離してくる陽性細胞が出現した。さらにE7からE8にかけて、陽性細胞の分布は、視神経の視交叉側から網膜側に向かって拡がり、E8からE9にかけて視神経全体にみられるようになった。この時期の陽性細胞の多くは、網膜の方向に突起を伸ばす単極型をしていた。次に、これらの陽性細胞が第3脳室に面した脳室層から移動たものかどうかを調べるため、蛍光色素Dilを脳室内に注入した。E5またはE6に、側脳室を介して色素を注入すると、色素が第3脳室の底部にまで拡がっていた例では、2日後(E7またはE8)に、視神経の中にDilを取り込んだO4陽性細胞が出現した。これは、脳室面で色素を取り込んだ細胞が、視神経に遊走してきたことを示しており、O4陽性細胞の移動が明らかにされた。以上の結果から、視神経のオリゴデンドロサイトが、第3脳室の底面に起源をもち、移動によって視神経の中に入ってきたことが示された。
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