研究課題/領域番号 |
09680761
|
研究機関 | 富山医科薬科大学 |
研究代表者 |
櫨 彰 富山医科薬科大学, 医学部, 助教授 (50228433)
|
研究分担者 |
岡崎 真理 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (50272901)
武田 龍司 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (80020791)
|
キーワード | 呼吸リズム形成 / 呼吸ニューロン / 細胞内電位 / 迷走神経 / Ca電流 / 吸息オンスィッチ |
研究概要 |
本年度は、脳幹呼吸中枢神経回路のリズム形成における吸息オンスイッチ(IonS)機序について検討した。 1. 自発性IonS時、すなわち横隔神経の吸息性活動開始と同時にaug-I neuronは脱分極し、PIおよびE2neuronは過分極した。迷走神経刺激によるIonS時には、60-100msecの潜時ののち各ニューロンに自発性IonS時と同様の膜電位変化が起こった。この潜時の間に呼吸ニューロンに反射性のシナプス後電位が誘発された。Aug-I neuronにはIPSPとそれに続くEPSPが、PI neuronにはEPSPに続きIPSPが起こった。E2 neuronにはIPSPのみが誘発された。これらの反応は、IonSが誘発されないときでも同様に誘発され、また迷走神経誘発吸息オフスイッチ(IOS)時における反応とも同じであった。 2. 呼吸ニューロンは、非活動相から活動相への移行時には、IPSPからの解放(disinhibition)によるrebound depolarizationを示す。このrebound depolarizationはCd^<2+>の投与により減少した。TetrodotoxinおよびTEAの処置後に、過分極パルス後の脱分極パルス適用時に誘発される内向き電流もCd^<2+>により減少した。この電流の活性化電位は約-100mVであり、不活性化電位は-60mVであった。脱分極パルスにより、呼吸ニューロンには内向き電流が誘発され、Cd^<2+>により減少した。D-600の細胞内投与あるいはCd^<2+>の細胞外適用により、呼吸ニューロンの活動相脱分極は減少した。これらのことから、Ca電流はIonS時の呼吸ニューロンの脱分極ならびに活動に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。
|