研究課題/領域番号 |
09680766
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
山本 秀幸 熊本大学, 医学部, 講師 (60191433)
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研究分担者 |
笠原 二郎 熊本大学, 医学部, 助手 (10295131)
福永 浩司 熊本大学, 医学部, 助教授 (90136721)
宮本 英七 熊本大学, 医学部, 教授 (50109659)
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キーワード | アルツハイマー病 / 海馬 / カルモデュリン / CaMキナーゼII / Cキナーゼ / MARCKS / 脳由来神経栄養因子 / 燐酸化特異抗体 |
研究概要 |
側頭葉てんかんやアルツハイマー病の脳では海馬領域の異常が指摘されている。本領域での細胞内情報伝達機構の異常が示唆される。平成9年度は両疾患でのCキナーゼの異常を検出する目的でCキナーゼで燐酸化されたMyristoylated alanine-rich C kinase substrate(MARCKS)に対する燐酸化特異抗体を作製した。1)Cキナーゼで燐酸化を受ける2箇所の部位を含む燐酸化ペプチドを合成し、家兎に免疫して抗血清を得た。得られた抗血清から、非燐酸化ペプチドと燐酸化ペプチドを結合させた2種類のカラムを用いて燐酸化MARCKSに対する特異抗体を精製した。2)精製した特異抗体は、精製したMARCKSおよび、脳やNG108-15細胞の粗抽出液を用いると、Cキナーゼで燐酸化されたMARCKSとのみ反応した。NG108-15細胞をPMAで処理したときに、免疫反応性の増加が認められた。3)アルツハイマー病脳の老人斑が本抗体で強く染色され、当該部位でのMARCKSの燐酸化の増加が検出された。4)また、CaMキナーゼIIについては脳から各種サブユニットのcDNAを得た。さらに、サブユニットの中で核移行配列を有するアイソフォームを脳から分離することができた。核内のCaMキナーゼIIは核内のCa^<2+>濃度の上昇に伴う遺伝子発現調節に関与する可能性が高い。特に脳由来神経栄養因子(BDNF)は障害神経細胞の再生に関与する可能性があり、細胞内のCa^<2+>濃度の上昇により、その発現が増加することが知られている。今後、核内のCaMキナーゼIIのBDNF発現への関与について検討していく予定である。
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