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1998 年度 実績報告書

側頭用てんかん脳での神経突起の形成異状と蛋白質燐酸化反応の分子細胞生物学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 09680766
研究機関熊本大学

研究代表者

山本 秀幸  熊本大学, 医学部, 講師 (60191433)

研究分担者 笠原 二郎  熊本大学, 医学部, 助手 (10295131)
福永 浩司  熊本大学, 医学部, 助教授 (90136721)
宮本 英七  熊本大学, 医学部, 教授 (50109659)
キーワードNG108-15細胞 / 核内移行シグナル / カルシウム / カルモデュリン / カルモデュリンキナーザII / 神経突起形成 / 転写調節 / 脳由来神経栄養因子(BDNF)
研究概要

側頭葉てんかん脳では海馬領域での神経突起の形成異常が指摘されている。脳由来神経栄養因子(BDNF)などの神経栄養因子は神経細胞の生存維持作用に加えて神経突起伸展作用を有する。種々の阻害剤を用いた研究からBDNFの発現に神経細胞の核内に存在するCa^<2+>/カルモデュリン依存性蛋白質燐酸化酵素II(CaMキナーゼII)の関与が示唆されている。代表者らは平成9年度に脳から核内に存在するCaMキナーゼIIのアイソフォームであるデルタ3を見出し、そのcDNAを得た。今回、デルタ3をNG108-15細胞に過剰発現させ、BDNFの遺伝子発現に対する影響について検討した。1)NG108-15細胞では、BDNFのmRNAの中でエキソンIVを含むBDNF(IV-BDNF)のmRNAが多量に発現していた。2)定量RT-PCR法による検討では電位依存性Ca^<2+>チャネルを開口させるBay-K8644の処理により、III-BDNFとIV-BDNFのmRNAが増加した。3)デルタ3の過剰発現によりIV-BDNFのmRNAの増加のみが有意に増強された。4)デルタ3のATP結合部位のアミノ酸を置換させ、活性をもたない変異体を作製した。得られた変異体の過剰発現ではIV-BDNFのmRNAの発現増強は認められなかった。5)免疫染色法によりBDNF蛋白質の発現について検討した。核内にデルタ3を過剰発現する細胞の細胞質のみがBDNFに対する抗体で強く染色された。また、核内に存在する別のアイソフォームであるαBの過剰発現でも同様の効果が認められた。
今回の結果から、Ca^<2+>、カルモデュリン系の活性化によるBDNFの発現に核内に存在するCaMキナーゼIIが関与することが明らかになった。今後、ルシフェラーゼ遺伝子をレポーター遺伝子としてBDNFの転写調節機構を詳細に検討する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Hideyuki Yamamoto: "The antibody specific for myristoylated alanine-rich C Kinase substrate (MARCKS) phosphorylated by protein kinase C: Activationof protein kinase C in smooth muscle cells in human coronary arteries." Arch.Biochem.Biophys.359. 151-159 (1998)

  • [文献書誌] Seiji Inui: "Ig receptor binding protein I (α4) is associated with a rapamycin-sensitive signaltransduction in lymphocytes through direct binding to the catalytic subunit of protein phosphatase 2A." Blood. 92. 539-546 (1998)

  • [文献書誌] 山本秀幸: "選択的mRNAスプライシングによって生じるCa^<2+>/カルモデュリン依存症プロテインキナーゼIIの可変領域の多様性とその生理的意議 : アイソフォームの細胞内局在決定機構との関連について" 生化学. 70. 1349-1354 (1998)

  • [文献書誌] Yusuke Takeuchi: "Nuclear localization of the δ subunit of Ca^<2+>/calmodulin-dependent protein kinase II in rat cerebellar granule cells." J.Neurochem.72. 815-825 (1999)

  • [文献書誌] Masao Ohmitsu: "Phosphorylation of myristoylated alanine-rich protein kinase C substrate by mitogen-activated protein kinase in cultured rat hippocampal neurons following stimulation of glutamate receptors." J.Biol.Chem.274. 408-417 (1999)

  • [文献書誌] Kazuya Matsumoto: "Cloning from insulinoma cells of synapsin I associated with insulin secretory granules." J.Biol.Chem.274. 2053-2059 (1999)

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公開日: 1999-12-13   更新日: 2016-04-21  

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