研究概要 |
ブタ脳に同定された6-ニトロノルエピネフリン(6-NNE)による,ラット大動脈の収縮に及ぼす影響に付いて検討した.6-NNE(100μM以上)は,内皮の存在には無関係に,小さなしかし有意な収縮作用を示した.この作用はα1アドレナリン受容体拮抗薬のプラゾシン30nMで完全に抑制された.したがって,ノルエピネフリン(NE)による収縮に対して,6-NNE(1-300μM)は内皮依存性に増強作用を示した.この作用はカタラーゼにより抑制された.このことは,過酸化水素の関与を示唆する.NO生成酵素阻害薬や,モノアミン酸化酵素阻害薬は影響しなかった.したがって過酸化水素の生成源としてモノアミン酸化酵素ではない.過酸化水素(1-300μM)も,NEによる収縮に対して内皮依存性に増強作用を示した.6-NNEによる増強作用は非特異的リポキシゲナーゼ(LOX)阻害薬であるNDGAやAA861により抑制された.シクロオキシゲナーゼ阻害薬であるインドメタシンや12-LOX阻害薬であるバイカレインは6-NNEによる増強作用をさらに増加した.5-LOX阻害薬は6-NNEによる増強作用に影響しなかった.NE収縮の過酸化水素による増強作用もAA861により抑制され,インドメタシンにより増加した.これらの結果は6-NNEが内皮依存性にNE収縮を増強し,過酸化水素の生成及びLOXがこの増強作用に関与していることが考えられた.
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