ミクログリアはマクロファージ様の性質を持つ中枢神経系細胞で、炎症反応やウイルス感染、神経変性などの多くの脳内ストレスに反応し活性化されストレス因子を産生する。本研究は脳の発生や機能形成におけるミクログリアの役割をinvivoで検討し、以下のような成果を得た。 1.我々が樹立したミクログリア株細胞に外来性遺伝子を導入し、独自に開発した脳特異的バイオターゲッティング法を用いることによって、目的遺伝子を脳に特異的に発現させることに成功した。また、導入したミクログリアは脳に生着し、数ヶ月にわたって生存することがわかった。 2.一過性前脳虚血モデルにおいて脳特異的バイオターゲッティング法でミクログリアを虚血性神経細胞死巣に導入してinvivoで直接ミクログリアの老化促進ストレス応答を検討するシステムを開発した。この系でみられる遅延性神経細胞死は活性化ミクログリアを抹消から導入しておくことによって抑制されることがわかった。 3.GFP恒常的発現骨髄細胞を正常マウスに移植するシステムを確立し、骨髄細胞移植における脳親和性細胞の存在やその性質について検討した。その結果、GFP陽性細胞が末梢臓器だけでなく脳実質にも、clusterを形成して存在する事を発見したが、脳に移入した細胞は末梢臓器に移入する細胞とは異なる性質を持つことが判った。
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