1.Cl^-ポンプの精製 ラット脳のEDTA処理細胞膜分画をデカノイル-N-メチルグルカミド(MEGA-10)により可溶化し、Mono-Qカラムクロマトグラフィーおよびポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)を用いて、Cl^- pumpを部分精製し、520kDaの蛋白を得た。 2.Cl^-ポンプサブユニットの分離と部分アミノ酸配列の解析 ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)化した520kDa蛋白をSDS-PAGEにより展開し、主構成蛋白として62、60、55、51kDaのバンドを認めた。PVDF膜に転写後、各バンドを切り出し、N末アミノ酸配列の分析を行った。その結果、51kDa(20残基)および55kDa(25残基)蛋白は、未知のアミノ酸配列をもつ蛋白であった。 3.Cl^-ポンプサブユニットcDNAの5'プロモーター領域のシークエンシング 51kDaおよび55kDaの部分アミノ酸配列から推測される塩基配列に対応するアンチセンスプライマーを化学合成し、一方向性に挿入されたラット脳cDNAライブラリーを鋳型に5′プロモーター領域を増幅した。増幅された産物をベクターに組込み大腸菌を用いてサブクローニングし、シークエンシングを行い、各クローンの塩基配列により該当するアミノ酸配列を持つものを検索した。その結果、55kDaのN末端アミノ酸配列を含む5′上流領域173bpのDNA配列を明らかにした。
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