ラット脳のEDTA処理細胞膜分画をデカノイル-N-メチルグルカミド(MEGA-10)により可溶化し、Mono-Qカラムクロマトグラフィーおよびポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)を用いて、Cl^-ポンプを部分精製し、520kDaおよび580kDaの蛋白を得た。ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)化した520kDaおよび580kDa蛋白をSDS-PAGEにより展開し、主構成蛋白として62、60、55、51kDaのバンドを認めた。各バンドのN末アミノ酸配列分析の結果、51kDa(20残基)および55kDa(25残基)蛋白は、未知のアミノ酸配列をもつ蛋白であった。55kDa蛋白のアミノ酸配列から推測される塩基配列に対応するアンチセンスプライマーを化学合成し、一方向性に挿入されたラット脳cDNAライブラリーを鋳型に5'上流領域をPCR(polymerase chain reaction)法により増幅し、シグナルペプチドと考えられる領域を含む173bpのDNA配列を明らかにした。次に、放射性同位元素(α-^<32>P dCTP)によるランダムプライムシステムを用いて、上記の5'上流領域の塩基配列(173bp)を標識し、これをプローブとしてスクリーニングを行った。1stスクリーニングによって得られたpositive plaqueは、上記の173bpを含むことをPCR法で確認したうえで2ndスクリーニングを行い、現在シークエンシング中である。 年度内にはCl^-ポンプサブユニットcDNAを明らかにできなかったが、ノーザンブロットの結果より、4.2kbのバンドが検出された。主として脳で多く発現が認められ、その他、肝臓、腎臓、骨格筋にも認められることを明らかにした。
|