研究概要 |
オリゴデンドロサイト(OL)は中枢神経系においてミエリン形成を担当する細胞であり、生後においても側脳室の上皮下層から大量に発生し移動中に分裂を繰り返しながら成熟している。その前駆細胞であるO2Aからの分化や成熟の過程は、厳密な段階を経由することがわかっており、各段階特異的な表面抗原の発現にしたがってその細胞系譜が規定されてきている。老齢ラット脳由来のプロジェニタ-細胞からもOLが分化誘導されることが判明したが、その量は極めて少ないことから、本年度はまず胎生期ラット大脳より発達特異的なOLの大量培養法を確立するとともにOL細胞系譜を明らかにした。未成熟段階にあるOL(A2B5^-,04^+/GC^-,MBP^-)の可溶性膜画分を用いてモノクローナル抗体を作成し、その中の一つである4F7では還元後では80kDa付近にダブレットのバンドがウェスタンブロットで観察された。また14F7においては43kDa付近にOL特異的なはっきりとしたバンドが確認された。これら二つの抗体が認識する発達段階的OL膜表面上の認識部位が異なることが考えられ、さらにその抗体作成法から考えると、これらの認識するのは細胞接着分子種の可能性が高いことを示した。
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