超老齢ラット(32ヶ月齢)脳でどのような種類の細胞が初代培養系で存在しうるのか検討し結果、若齢ラット脳由来の場合と同様、04/01-陽性のプロジェニター細胞を含めグリア系細胞が数多く生存していることを明らかにした。これらの細胞は各種の成長因子(サイトカイン)やメディウムの組み合わせによってミエリン形成細胞へと分化誘導させることができるが、これらの細胞と幼若脳由来のニューロンとでミエリン膜形成初期過程をリアルタイムで可視化して調べたところオリゴデンドロサイトは軸索に接触はするものの実際にミエリン膜を巻くにいたらなかった。このときにオリゴデンドロサイトでミエリン塩基性タンパクが細胞体から膜側に移動し、接着分子として全長型のL1分子が増加すること、またニューロン側ではlgスーパーファミリーコンタクチンの発現が増加し、これらの分子がミエリン膜形成初期過程にヘテロフィリックな結合を介してミエリン形成のシグナル伝達機構に関与することが示唆された。
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