細胞内シグマ-1受容体を介した情報伝達機構及びチロシン水酸化酵素活性の制御機構

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09680781
• 研究機関: (財)東京都医学研究機構
• 研究代表者: 山本 秀子 財団法人 東京都医学研究機構, 東京都精神医学総合研究所, 研究員 (60211645)
• 研究分担者: 山国 徹 三菱化学, 生命科学研究所, 研究員 ; 山本 敏文 横浜市立大学, 総合理工学研究科, 助教授 (10230575)
• キーワード: チロシン水酸化酵素 / V-1 / GST融合蛋白質 / σ-1受容体 / トランスジェニックマウス / ノルアドレナリン / アドレナリン / 会合蛋白質

研究概要

1.σ-1受容体と複合体を形成する蛋白質の部分精製
我々は、σ-1受容体の細胞内情報伝達機構を明らかにするために、GST-(His)6-σ-1受容体フラグメント(アミノ酸配列118-223)融合蛋白質を大腸菌に発現させ、そのアフィニティゲルを用いてσ-1受容体と複合体を形成する会合蛋白質を探索した。σ-1受容体抗体を用いたウェスタンブロット染色から、σ-1受容体の細胞内局在は、ミクロソーム画分に多く認められることから、ラット脳S2のCHAPS可溶化画分を調製し、DEAEセルロース、GST融合蛋白質アフィニティゲル、グルタチオンセファロース4B、ヘパリンセファロースなどを用いて会合蛋白質を部分精製した。SDS-PAGEでは、σ-1受容体と複合体を形成する蛋白質の分子量は81.2-kDaであった。
2.V-l transgenic mouse作製
ヒトDBH遺伝子promoter vectorにラットV-1 cDNAを挿入して構築したV-1 transgeneを用いてV-1 transgenic mouseの作製を行い、3系統のV-1 transgenic mouseの樹立に成功した。その副腎におけるV-1タンパク質の発現は野生型およびnontransgenic mouseのそれと比較して3-4倍に、またTHタンパク質の発現レベルは2-3倍まで増大していた。さらに、興味深いことにV-1 transgenic mouseの副腎においてnoradernaline細胞では著明なV-1タンパク質の増大が認められたが、対照的にadrenaline細胞では低い発現増大のみが観察され、transmitter identity依存的なV-1遺伝子の発現制御機構の存在が示唆された。

研究成果

• [文献書誌] Yamamoto H., et al.: "Identification of amino acid residues in the transmembrane domain of the type-1 sigma receptor involved in ligand binding"FEBS Lett.. 445. 19-22 (1999)
• [文献書誌] Yamakuni T., et al.: "A novel catecholamine biosynthesis-promoting protein containing cdc10/SWI6 motifs"J. Biol. Chem.. 273. 27051-27054 (1998)
• [文献書誌] Hamada S., et al.: "Localization of 5-HT_<2A> receptor in rat cerebral cortex and olfactory system revealed by immunohistochemistry using two antibodies raised in rabbit and chicken"Molecular Brain Res.. 54. 199-211 (1998)
• [文献書誌] Kawai N., et al.: "Effect of methamphetamine and dopamine receptor antagonists on cholecystokininlike immunoreactivity in the rat medial prefrontal cortex31"Pharm. Biochem. Behav.. 58. 517-523 (1997)
• [文献書誌] Kawai N., et al.: "Functional Characterization of endothelin receptors on cultured brain capillary endothelial cells of the rat"Neurochem. Int.. 31. 597-605 (1997)
• [文献書誌] 山本秀子、等: "シグマ受容体(σ receptors)"精神科治療学. 12. 987-989 (1997)
• [文献書誌] Yamakuni T., et al.: "Advances in Pharmacology"Academic Press, NY. 30-32 (1998)