光ピンセットを用いた神経成長円錐の接着性の研究をおこない以下のような成果をあげた。 ラットの中枢神経細胞の培養を行う。5から14日の培養神経細胞は生体内における神経細胞と同様に細胞間にシナプス形成を行なった。すると神経突起先端には神経成長円錐が形成された。これらの様子は現有の7000倍の高倍率微分干渉顕微鏡で観察する事ができた。この標本に細胞接着因子であるインテグリンやNCAMなどの抗体を纏ったラテックスビーズ粒子(直径2μm)を潅流投与し、光ピンセットにより捕捉し神経成長円に接触させるための準備ができた。光ピンセットの強化のためYAGレーザを装置に組み込むことができた。高倍率微分干渉顕微鏡により神経成長円錐の映像をコンピュータビデオ画像強調しラテックスビーズ粒子が膜表面に接触している様子を観察した。神経細胞の細胞体を電気的に刺激し神経活動に伴う神経成長円錐での細胞接着性の変化を検討した。すなわち神経成長円部において神経興奮に伴いビーズの細胞膜への接着を観察した。光ピンセットの作用力を大きくすることでビーズを膜から引きはがすことが可能でった。そこから、膜の微小領域での接着力を定量的に研究した。これらの過程について、ナノメータ計測顕微鏡法(辰巳1995)を用いて運動の軌跡を分析することができ、ビーズに働く力を推定した。このように新しい研究方法を成長円錐周辺の細胞膜における細胞接着性の変化の研究に応用し、神経活動と細胞接着性の変化との関係を明らかにすることができた。また神経伝達物質であるグルタメイトやNMDAなどを神経成長円錐周辺部に投与して、細胞接着性の変化を検討し、伝達物質の放出と細胞間接着構造の形成との関係を明らかにするための予備的に実験をおこなった。
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