• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1998 年度 実績報告書

抑制性シナプスにおける逆行性伝達物質の作用およびその役割

研究課題

研究課題/領域番号 09680813
研究機関金沢大学

研究代表者

少作 隆子  金沢大学, 医学部, 助教授 (60179025)

キーワード海馬 / 抑制性シナプス伝達 / 逆行性伝達物質 / シナプス可塑性 / カルシウムイオン / グルタミン酸
研究概要

1. 抑制性シナプス伝達の可塑的変化の一つである"DSI"という現象(シナプス後ニューロンの脱分極により誘発される抑制性シナプス伝達の一過性抑制)における逆行性伝達物質の役割について詳しく検討した。
2. 昨年度は、海馬スライスで報告されている"DSI"という現象を、ラットの海馬ニューロンの培養系で再現することに成功した。本年度は、DSIに関与する逆行性伝達物質を同定し、その放出メカニズムおよび作用メカニズムを明らかにすることを試みた。得られた結果は以下の通りである。
(1) DSIはシナプス前ニューロンからの伝達物質放出量の減少による。
(2) DSIはまわりのシナプスにも広がりうる。
(3) DSIは電位依存性カルシウムチャネル阻害剤により抑制される。
(4) DSIの出現頻度はニューロンの培養日数に大きく依存する。
(5) 代謝型グルタミン酸受容体を介するシナプス前抑制のみられないシナプスではDSIは起こらない。
(6) DSIはカルシウム/カルモデュリン依存性プロテインキナーゼII(CaM kinase II)の阻害剤で抑制される。
3. 最近、DSIに関与する逆行性伝達物質がグルタミン酸であること、および、樹状突起での開口放出にCaM kinase IIが関与していることが報告された。これらの報告、および本研究の結果より、DSIのメカニズムとして以下のようなモデルを考えた。
シナプス後ニューロンの脱分極により電位依存性カルシウムチャネルが開口し、細胞内カルシウム濃度が上昇し、CaM kinase IIが活性化され、グルタミン酸が樹状突起から開口放出される。それが抑制性シナプスのシナプス前終末部の代謝型グルタミン酸受容体に結合し、伝達物質の放出が抑制される。
今後はこのモデルを検証したい。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Takako Ohno-Shosaku: "Properties of depolarization-induced suppression of inhibitory transmission in cultured rat hippocampal neurons" Pfluegers Archiv. 435. 273-279 (1998)

  • [文献書誌] Takako Ohno-Shosaku: "Possible involvement of retrograde signaling in modulation of inhibitory transmission in cultured rat hippocampal neurons" The Japanese Journal of Physiology. 48Suppl.S20 (1998)

  • [文献書誌] Takako Ohno-Shosaku: "Calcium channels involved in depolarization-induced suppression of inhibition in cultured rat hippocampal neurons" Neuroscience Research. Suppl.22. S97 (1998)

  • [文献書誌] Takako Ohno-Shosaku: "Slow synaptic responses and modulation./Propagation of depolarization-induced suppression of inhibition in cultured rat hippocampal neurons(in press)" Springer-Verlag, Tokyo,

URL: 

公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi