1.エンケファリン(Enk)mRNA含有ニューロンの電気生理学的特徴 (1)Enk mRNA含有ニューロンの発火パターン 38例の脊髄後角表層Enk mRNA含有ニューロンのうち、20例では脱分極通電に対して、複数のスパイクを発生したが、比較的強いaccomodationを示した。10例では、一発のみスパイクを発生させた。また、8例では、accomodationが弱く、通電パルスの期間中スパイクの発生がtonicに持続した。 Enk mRNA含有ニューロンでは過分極通電に対する反応に明らかなsagが見られることは稀であった(6/35例)。一方、Enk mRNA非含有ニューロンでは、28/84例でsagが見られた。 (2)Enk mRNA含有ニューロンに見られたイオン電流 後角表層Enk mRNA含有ニューロンから膜電位固定下に記録を行い、主としてカリウム電流について検討した。(1)〜(4)のカリウム電流が同定された。 (1)Transient I_A current(Enk mRNA含有ニューロン46例中39例) (2)Inward rectifier(39例中18例) (3)Ca^<2+>-dependent potassium currents(31例中14例) (4)Delayed rectifier(全例) 2.後角表層Enk mRNA含有ニューロンに対するバリブツレートの作用 灌流投与したバリビツレー(nembutalおよびthiamylal)は過分極を誘発させ、また、脱分極通電により誘発される活動電位の発生を抑制した。 3.脊髄後角ニューロンにおけるセロトニン受容体(3型及び2c型)mRNAとmRNAのco-expression 後角表層Enk mRNA含有ニューロンのおよそ半数がセロトニン3型受容体を発現していた。また、後角深層Enk mRNA含有ニューロンのおよそ10%には2c型受容体が発現していた。
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