研究課題/領域番号 |
09680825
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
井上 真澄 福岡大学, 医学部, 助教授 (40223276)
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研究分担者 |
坂本 康二 福岡大学, 医学部, 教授 (30078761)
矢野 晶子 福岡大学, 医学部, 助手 (00279283)
今永 一成 福岡大学, 医学部, 教授 (40078613)
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キーワード | 副腎髄質細胞 / 酸素欠乏 / カチオンチャネル / ムスカリン受容体 / シアン化合物 / モルモット |
研究概要 |
ニスタチン法を用いて単離モルモット副腎髄質細胞の膜電位を-62mVに保持し、5mMCN化合物を投与すると、ほとんど潜時無く内向き電流が発生し、2〜3分で最大値に達した。同様の電流は、灌流液をN_2で飽和させ、さらに0.5mM Na2SO_4を加えて低酸素状態にさせても発生した。この両者の電流の最大値は、それぞれ同じ細胞で3μMムスカリンで誘発される電流の114及び68%に相当した。CN誘発性電流は、外液のグルコースをショ糖に置換しても影響を受けなかった。これらの結果は、CN化合物の作用が化学的酸素欠乏によることを示している。内向き電流発生のCN濃度依存性は、EC50が0.34mMのMichaelis-Mentenタイプの式でよく近似できた。CN電流は、CIイオンの平衡電位でも、細胞内のNaイオンを全くKイオンに置換した条件下でも観察された。これらの結果は、CN電流がNaポンプの抑制やCI電流でなくカチオン電流である事を示唆している。さらに、TEAなどKチャネル抑制薬の存在下でのCN電流の逆転電位は-24mVであり、外液のNaイオンの135mMをNMGに置換すると-62mVでの誘発電流は約71%抑制された。更に、CN電流-電圧関係には、電位が-50mVより過分極するに従い電流値が減少する、負のスロープが存在した。これらの特徴は、ムスカリン受容体刺激により誘発される非選択的カチオン電流のものと類似している。さらに、CNによる内向き電流発生中は、ムスカリンを投与しても更なる電流発生は、ほとんど見られなかった。外液のMgイオン濃度を更に4mM増加すると、ムスカリン誘発性電流と同様に30%抑制された。これらの結果は、酸素欠乏が、ムスカリン受容体制御性カチオンチャネルを活性化することを示唆している。
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