研究課題/領域番号 |
09680825
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
井上 真澄 福岡大学, 医学部, 助教授 (40223276)
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研究分担者 |
坂本 康二 福岡大学, 医学部, 教授 (30078761)
今永 一成 福岡大学, 医学部, 教授 (40078613)
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キーワード | 副腎髄質細胞 / 酸素欠乏 / カチオンチャネル / ムスカリン受容体 / ミトコンドリア / Caイオン / 脱分極 / シアン |
研究概要 |
平成9年の研究により、シアン化合物及びムスカリンは同一のカチオンチャネルを活性化することが明らかになった。そこで、本年はこのチャネル活性化の結果カテコールアミン分泌が起こるかどうかをアンペロメトリー法により検討した。単離副腎髄質細胞にムスカリンを投与すると、すみやかにカテコールアミン分泌が起こり刺激期間中持続した。一方、シアンを投与すると、数10秒の潜時をおいて分泌が誘発された。この分泌促進は、外液のグルコースを蔗糖に置換しても影響を受けなかった。更に、灌流液の酸素濃度を約60mmHgに低下しても分泌促進が見られた。以上の結果は、シアンによる分泌促進が化学的酸素欠乏によることを示している。ムスカリン及びシアンによる分泌促進は、外液のCaイオンをMgイオンに置換することにより、又電位依存性Caチャネルの抑制薬であるCdイオンやD-600の投与により消失した。両薬物は、ニスタヂン法による定電流条件下で頻発性の活動電位を伴った脱分極を誘発した。細胞内Caイオン濃度をFluo-3AMを用いて測定すると、シアン及びムスカリンは細胞外Caイオン依存性にCaイオン濃度を上昇させた。以上の結果より、ムスカリン及びシアンによる化学的酸素欠乏は、脱分極による電位依存性Caチャネルの活性化を介して、カテコールアミン分泌を促進することが明らかになった。この脱分極の少なくとも一部は、カチオンチャネルの活性化によることが考えられる。
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