マウスの内在性核酸分解酵素のうち、2つのDNA分解酵素DNase IとDNase IIについて検討している。 1)DNaseIでは、等電点電気泳動-活性染色により組織、体液中のDNase Iはラボラトリ-マウス、スプルタス、それにドメスチカス由来のマウスで多型がみられた。申請者はこれまでの研究で腎臓(尿)中のDNase I酵素活性がステロイドホルモンにより調節を受けていること、腎臓(尿)中のDNase I酵素活性に遺伝的変異が認められることを明らかにしているが、DNase Iの構造遺伝子座と酵素活性の調節に関する遺伝子座の関連について明らかにするためにスプルタスとラボラトリ-マウスとの間で交配実験を行った。スプルタスマウスの繁殖が十分でなく、解析に十分な子孫マウスはまだ得られていないが、子孫マウスについて等電点、酵素活性、それにマイクロサテライトマーカーの解析を行っている。 2)DNase IIおいても、申請者はこれまでマウスでの酵素活性の組織分布を明らかにし、種々の組織中にみられる酵素活性のマウス系統差が常染色体上の単一劣性遺伝子に支配されること明らかにしている。酵素活性を調節している遺伝子座の染色体マッピングを行うために、酵素活性に違いが認められたラボラトリ-マウス系統間での交配実験を行った。得られた子孫について、DNase II酵素活性とマイクロサテライトマーカーについてPCR法よるタイピングを行っている。
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