ヒト・マウスcDNAとFISH法を用いたハムスター・スンクスの染色体地図の作製

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09680829
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 研究機関: 名古屋大学
• 研究代表者: 松田 洋一 名古屋大学, 農学部, 助教授 (70165835)
• キーワード: cDNA / FISH / ハムスター / スンクス / 染色体マッピング / 機能遺伝子 / 比較染色体地図 / 染色体相同性

研究概要

蛍光in situ hybridization(FISH)法を用いて、多数のマウス・ラットのcDNAクローンをシリアンハムスター染色体上に直接マッピングし、シリアンハムスター機能遺伝子の染色体地図の作成を試みた。本研究では、主として1-2kbのcDNAクローンを用いたが、シリアンハムスター染色体へのハイブリダイゼーション効率は高く、約90%以上の確率でマッピングが可能であり、今後もマウス及びラットcDNAクローンを用いることによって、迅速にシリアンハムスター染色体に機能遺伝子をマッピングしていくことが可能であると思われる。現在までに82の機能遺伝子のマッピングを終了し、マウス染色体との間に28の染色体相同領域を検出した。これらの領域は、ヘテロクロマチン領域を除くシリアンハムスターゲノムの約25%にあたる。また、シリアンハムスターとマウス染色体間にみられる染色体再配列の頻度は、ラットとマウス染色体よりも高いと推定された。
スンクスについては、既にヒト、マウス及びラットのcDNAクローンを用いて、FISH法によって10個の機能遺伝子をスンクス染色体上にマッピングしたが、まだその実施例は少ない。今後は、2.5kbを越える大きいサイズのヒトcDNAクローンを用いてFISHマッピングを行い、スンクス機能遺伝子の染色体地図を作成し、スンクスとヒト・マウス間の染色体相同性を明らかにしたい。

研究成果

• [文献書誌] Fukuoka, S.-I. and Matsuda, Y.: "Assignment of Tamm-Horsfall protein/uromodulin (Umod) to mouse and rat chromosome bands 7F1-F2 and 1q36-37 by situ hybridization." Cytogenetics and Cell Genetics. (印刷中).
• [文献書誌] Kuroiwa, A., Yamashita, Matsuda, Y.et al.: "Association of tyrosine phosphatase SHP-1 and SHP-2, and inositol 5-phosphatase SHIP with gp49B1, and chromosomal assignment of the gene." Journal of Biological Chemistry. 273. 1070-1074 (1998)
• [文献書誌] Saito, T.,Matsuda, Y., Suzuki, T.et al.: "Comparative gene mapping of the human and mouse TEP1 genes, which encode one protein component of telomerase." Genomics. 46. 46-50 (1997)
• [文献書誌] Nigro, V., Okazaki,Y., Matsuda, Y.et al.: "Identification of the Syrian hamster cardiomyopathy gene." Human Molecular Genetics. 6. 601-607 (1997)
• [文献書誌] Matsuda, Y., Saito, T., Fujimoto, J.et al.: "Chrmosomal mapping of the mouse and rat brt genes." Genomics. 40. 181-184 (1997)
• [文献書誌] Saito, T., Matsuda, Y., Ito, H.et al.: "Localization of ZAP-70, the gene for a T cell-specific protein tyrosine kinase, to mouse and rat chromosomes by FISH and molecular linkage analysis." Mammalian Genome. 8. 45-46 (1997)