研究概要 |
当該研究年度(平成10年)の3月、第16回日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会シンポジウム「上気道の粘膜感染免疫」(英語セッション)に本研究課題「中耳炎病態モデルとしてのスンクスの有用性」に関連する事項が取り上げられ研究代表者がシンポジストとして参加することができ、海外の耳鼻科免疫領域研究者の示唆に富んだ評価を受けることができた。近年、米国を中心として上気道感染防御に噴霧等による経鼻粘膜ワクチン開発が試みられ、その有用性が注目されているが、ラット、マウスが扁桃を欠くことからチンチラ・フェレットなどで開発実験が試みられているらしいが、それらいづれの実験動物でもヒト扁桃に相同の扁桃を欠き実験的研究に支障きたしている状況で、小型実験動物スンクスは、中耳炎病態モデルとしてのみでなく、経鼻粘膜ワクチン開発モデルとしても注目された。既に、坑スンクスpanT,IgM,IgG単クローン抗体を我々研究組織で精製しているので、研究年度中は坑スンクスIgA単クローン抗体精製に取り組んでいる。現在、EY社で市販されている坑マウスIgAポリクロナール・山羊抗体がスンクスIgAに交差反応を示すことが判ったので、現在、それら山羊抗体を用い実験的中耳炎惹起時でのIgA抗体産生細胞の鼻粘膜内/耳管扁桃/口蓋蔦桃などでの細胞動態を免疫組織学的に検索し、T/Bリンパ球や免疫担当細胞とのinteractionを調べている。 それらの一連の実験ではスンクス鼻粘膜/口蓋扁桃/耳管扁桃ではIgA陽性細胞細胞数はIgM/IgGのそれらに比し有意に高く、特に、それら扁桃陰窩上皮細胞間に多く認められたことや、バイエル板IgA陽性細胞の一部が扁桃にホーミングしている可能性を有する事など、実験的中耳炎発症メカニズム解析に有用な所見を得つつ有る。
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