2軸レーザー照明を利用した広視野、長作動距離型の蛍光生体顕微鏡を考案し、毛細血管壁を介する物質透過過程の分析を行った。光源には使用蛍光物質であるFITC-dextranの最大吸収波長を発振波長に持つアルゴンレーザーを用い、2光路に分割後、オプティカルファイバにより顕微鏡まで誘導した。対物レンズの横2方向から組織に対し約60度の角度で交差照射することにより、直径6mmの領域内に存在する蛍光物質FITC-dextranを均一強度で励起可能となった。得られた画像は干渉フィルタにより蛍光の有効成分のみを選択し、SITTV カメラにより映像化する。この方法を用いることで、広視野のもとでの微小循環動態および血管壁からの物質透過の様子が鮮明に観察でき、また視野内の全ての領域においてバックグラウンドのsubtractionなしで蛍光強度の定量化が可能になった。試作顕微鏡によりhamster cheek pouchの微小循環および物質透過過程の観察を行った。通常の白色光による透過照明では毛細血管レベルまでの可視化が困難な広視野、弱拡観察においても新しく開発したレーザー照明では鮮明な画像として得られた。またヒスタミンの局所投与による透過過程の観察により、毛細血管直後の後細静脈周辺での透過性亢進が明らかになった。またモンタージュ法などの必要なしに広視野での観察ができるため、leakage siteの大きさや存在位置が容易に確認でき、透過過程の分析に有用であることが確認できた。
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