アレルギーの症状は、消化器から皮膚、呼吸器、全身症状(アナフィラキシー)など多岐にわたっているが、その発症機構については未だ不明な点も多く、診断法や治療法は確立されていないのが現状である。このようなことから、現在、食品や環境中に存在する微量のアレルゲンを高感度で迅速かつ簡便に測定する適当な方法はなく、早急な対処が切望されている。そこで本研究では、膠原病患者に特有な2本鎖DNA(dsDNA)に特異的な抗体の迅速・簡便な検出を目的として、フローインジェクションシステムを作製した。本年度は昨年度までの成果を踏まえ、酵素で標識したDNAを調製し、光源抗体反応により形成される複合体との等電点の差から、イオン交換カラムによりその分離を行った。また、形成された複合体に由来する発光の測定を行い、検出感度、測定に要する時間や操作等の基本特性について評価を行った。まず、酵素アルカリホスファターゼで標識したDNAと抗dsDNA抗体を反応させ、サンプルをシステムに注入し、分離特性等について検討した。その結果、20mM N-メチドピペラジン緩衝液(pH5.0)を用いることで、未反応抗体と抗原抗体複合体の分離が可能になった。そこで、標準血清の濃度を変化させ、血清中に含まれる抗dsDNA抗体の変化に伴う応答を調べたところ、抗dsDNA抗体濃度の増加とともにシグナルも大きくなることが明らかになった。特に、0〜400IU/mlの濃度範囲では非常に良好な相関関係が得られた。また、他のタンパク質と反応させても、シグナルに変化がみられなかったことから、選択性にも優れていることが示された。
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