アレルギーの症状は、消化器から皮膚、呼吸器、全身症状(アナフィラキシー)など多岐にわたっているが、その発症機構については未だ不明な点も多く、診断法や治療法は確立されていないのが現状である。このようなことから、現在、食品や環境中に存在する微量のアレルゲンを高感度で迅速かつ簡便に測定する適当な方法はなく、早急な対処が切望されている。そこで本研究では、実際のプロセスでの適用が可能な手法として、蛍光色素を利用したフローイムノアッセイの開発を目的とした。まず、蛍光色素フルオロセインイソチオシアネート(FITC)標識IgE抗体とアレルゲンを反応させたサンプルをシステムに注入し、分離特性について検討した。注入後2〜3分で蛍光強度の増加が確認された。このフラクションを分取し、ポリアクリルアミド電気泳動により分子量を調べたところ、予想された複合体の分子量である250kDaにバンドが確認された。このシステムを用いることで、未反応の抗体と抗原抗体複合体が分離でき、アレルゲンの検出が可能となった。また、アレルゲン濃度の増加とともに蛍光強度も大きくなり、アレルゲン濃度0〜2mg/mlの間では非常に良好な相関関係が得られ、他のタンパク質とは反応が見られなかったことから、選択性にも優れていることが示された。さらに、このシステムを膠原病患者に特有な2本鎖DNA(ds DNA)に特異的な抗体の迅速・簡便な検出へと適用した。酵素アルカリホスファターゼで標識したDNAと抗dsDNA抗体を反応させサンプルをシステムに注入し、分離特性等について検討した結果、20mM N-メチルピペラジン緩衝液(pH5.0)を用いることで、未反応抗体と抗原抗体複合体の分離が可能になった。抗dsDNA抗体濃度の増加とともにシグナルも大きくなることが明らかになった。特に、0〜400 IU/mlの濃度範囲では非常に良好な相関関係が得られた。
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