ウサギの骨欠損を生体活性骨セメントで補填する実験を行なった。対照としてPMMA骨セメントを用いた。臨床応用としては、開放骨折や高度に粉砕した骨折などで生じた骨欠損の補填などが考えられる。 実験は、体重3kgの日本白色家兎の右脛骨のほぼ中央に15mm長の骨欠損(segmentaldefect)を作成し、2mm径のキルシュナー鋼線2本で脛骨の近位部と遠位部を固定し、この骨欠損を生体活性骨セメント(dough type)及びPMMA骨セメントで補填した。特に外固定は行なわず、術直後より全荷重させた。12週及び25週で屠殺し、脛骨を摘出した。レントゲン写真撮影後に、キルショナ-鋼線の抜釘を行ない、detaching test及びギムザ染色やContact micro radiographyによる組織学的評価を行ない比較した。 現在、一部の標本の評価が終わったのみであるが、detaching testでは生体活性骨セメントはPMMA骨セメントに比べて、骨と骨セメントの結合強度が高い傾向にあった。またギムザ染色では、PMMA骨セメントは線維性組織を介して骨と結合していたが、生体活性骨セメントは骨と直接結合していた。両セメントともに、キルシュナー鋼線との間に金属の磨耗粉は観察されなかった。 このような荷重下の条件においても、生体活性骨セメントはPMMA骨セメントに比べ骨結合能が高く、骨欠損に対する補填材料として有用であると言える。 本研究は本年12月の整形外科セラミックインプラント研究会にて発表する予定である。
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