平成11年度の計画は(1)化学修飾α-エラスチンマトリックス・コアセルベートによる平滑筋細胞の増殖阻害及び遊走阻害、(2)ポリペプチドマトリックス・コアセルベートによる平滑筋細胞の増殖阻害及び遊走阻害の検討である。平滑筋細胞は最初、ウサギ血管平滑筋細胞を用いて検討し、ついでヒト血管平滑筋細胞を用いて検討する予定であったが、ウサギ、ヒトともに血管平滑筋細胞の単離、培養がうまくいかず、当研究室で以前から単離・培養に成功しているニワトリ血管平滑筋細胞を用いて検討することにした。また化学修飾α-エラスチンマトリックス・コアセルベート及びポリペプチドマトリックス・コアセルベートによる検討を行う前に、基礎実験として化学修飾α-エラスチンマトリックス及びポリペプチドマトリックスを用いて検討した。上記(1)については化学修飾α-エラスチンマトリックスによる平滑筋細胞の遊走試験を検討したところ、化学修飾していないα-エラスチンと同様に平滑筋細胞の遊走を促進(化学修飾していないα-エラスチン及び化学修飾α-エラスチンの最大活性濃度はそれぞれ10^<-1>μg/ml及び10^<-2>μg/ml)した。平滑筋細胞の増殖については検討中である。上記(2)についてはポリペプチドマトリックスによる平滑筋細胞の増殖はポリペプチドマトリックスの濃度依存的に増加(濃度0に比べて0.01μg/mlで1.1倍、0.1μg/mlで1.3倍、1.0〜100μg/mlで1.5倍)した。平滑筋細胞の遊走については検討中である。化学修飾α-エラスチンマトリックス・コアセルベート及びポリペプチドマトリックス・コアセルベートを用いた場合、平滑筋細胞の増殖・遊走阻害が期待されるが、現在検討中である。
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