研究課題/領域番号 |
09680856
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
田中 敏明 札幌医科大学, 保健医療学部, 講師 (40248670)
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研究分担者 |
泉 隆 北海道東海大学, 工学部, 助教授 (80193374)
伊福部 達 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (70002102)
武田 秀勝 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (10048134)
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キーワード | 感覚刺激 / 中枢神経疾患 / リハビリテーション工学 / 重心動揺 / バランス訓練 |
研究概要 |
本年度は、足趾感覚が脳卒中片麻痺患者のバランス機能に及ぼす影響を明かにするとともに、中枢神経疾患者の感覚障害に対する感覚再教育訓練を考察することを目的とした。具体的には、脳卒中患者がリハビリテーションを行うことによってバランス能力を回復し退院するまでの期間において定期的にバランス能力と足趾感覚を中心に測定した。結果として、母趾の感覚検査より、片麻痺被検者の麻痺側と非麻痺側間および片麻痺被検者麻痺側と健康高齢者の右母趾でそれぞれ有意差をもって麻痺側の閾値が大となった。重心動揺値は片麻痺群が健康高齢者群の約1.5倍の値を示した。また、3名の片麻痺被検者の感覚障害と運動麻痺の回復状況は、1回目の計測後4週間以内の再計測と比較検討した結果、有意差は認められなかったが、感覚閾値、重心動揺値ともに2回目の計測値が1回目の値に比べ減少した。しかしながら臨床上用いられる感覚検査では1、2回の計測とも同じ値を示した。以上より開発した感覚計測機器を用いることにより、臨床上の神経学的検査では確認できない回復過程段階を明きらかにすることが可能となった。また、中枢神経疾患の直立位におけるバランス保持訓練として麻痺則の足趾の感覚(蝕圧覚)機能の改善は足趾における姿勢制御を高める可能性が示唆された。これにより当初に予定した本年度は研究計画はほぼ達成でき、本研究課題の総合的な進捗状況は概ね良好と判断できる。平成10年度は、足趾に対する接触面の材質、形状、温度変化等を考慮した足底感覚刺激および関節に対する感覚刺激が可能な感覚再教育訓練のためのフィードバックシステムの開発を行い、かつより適切な感覚再教育訓練を含んだバランスに関するリハビリテーション治療プログラムを作成し、その検証も併せて考察する。
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