1. 研究の背景と研究目的 下肢不自由者や高齢者が移動のために使用している車椅子は歴史も古く完成度の高い福祉機器であり、障害者のシンボルマークにもなっている。したがって、家庭内や病院内で使用するには十分な機能を有しており、リハビリ的な面からも有益なものである。しかし、屋外での毎日の買い物などには上肢の肉体的負担を虐げられる。このようなときに威力を発揮するのが電動車椅子であるが、これのみに頼ると体力の衰えを招きかねない。よって、手動車椅子に簡単に脱着可能で、動力補助ができるシステムの開発は車椅子利用者の自立・自活に支援できる有益なシステムである。本研究は手動車椅子に簡単に脱着可能な動力補助システムの開発を目的とする。 2. 今年度(第2年)の研究成果 今年度は研究計画に準じて走行データ収集と、動力補助システム本体の設計を行い試作した。昨年度の後半に手動トルクを推定するため、手動トルク、車速、道路勾配データの収集を行ったが、信頼性を向上させるためにデータ収集を継続し体重と手動トルクの関係も明らかにした。動力補助システム本体の設計と試作は、電動車椅子の規格に適合するように設計仕様を決定して設計を行った。試作は製作時間の短縮を考慮して、装置の一部は市販されている電動自転車のものを流用した。現在基本的な動力補助が可能なことが確認されている。 3. 次年度以降の研究の展開 次年度では開発した動力補助システムの調整を行い、車椅子利用者による評価実験を行う予定である。 4. まとめ 今年度は次の3項目について研究を行った。 (1) 動力補助量を推定するためのデータ収集を行いコンピュータ内にマップ化した。 (2) 動力補助システム本体の設計を行い試作した。 (3) 動力補助システムとしての基本動作実験を行った結果、その動作が確認された。 以上が今年度の主な研究成果である。現在、研究は計画通り遂行中である。
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