研究課題/領域番号 |
09680869
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
杉山 一男 近畿大学, 工学部, 教授 (00088577)
|
研究分担者 |
岡田 清孝 近畿大学, 医学部, 助手 (20185432)
松尾 理 近畿大学, 医学部, 教授 (40030879)
白石 浩平 近畿大学, 工学部, 講師 (10196602)
|
キーワード | 2-(メタクリロイルオキシ)エチルホスホリルコリン / ポリジメチルシロキサン / O-メタクリロイル-L-セリン / ブロックコポリマー / マクロアゾ開始剤 / ミクロ相分離構造 / ヒドロゲル層 / 抗血栓性材料 |
研究概要 |
2-(メタクリロイルオキシ)エチルホスホリルコリン(MPC)ヲポリジメチルシロキサン(PDMS)系マクロアゾ開始剤(VPS)で重合し、ブロックコポリマー(PMPC-b-PDMS)を合成した。このときジメチルシロキサン部に対する仕込みMPC量を95:5〜50:50(モル比)と連続的に変化させ、仕込み比とほぼ同じ組成をもつ一連のPMPC-b-PDMSを得た。PMPC-b-PDMSはいずれも水不溶で溶媒展開法によってフィルム形成能を示した。PMPC-b-PDMSフィルムはRuO_4で染色後、透過型電子顕微鏡観察から、ドメインサイズ50〜200nmのミクロ相分離構造を認めた。さらに接触角およびX線光電子分光測定から、水中でPMPC-p-PDMS表面にヒドロゲル層が形成されることも確認された。PMPC-p-PDMS含量の増大とともに表面ヒドロゲル層が拡大し、血栓形成の引き金となる血漿タンパク質の吸着、またヒト血小板の粘着・凝集をPDMSより著しく抑制した。 一方、高い生体親和性を示すホスホリルコリン残基の双性イオン構造に着目し、MPCと同様に分子内塩の形成が可能なO-メタクリロイル-L-セリン(SerMA)およびO-メタクリロイル-L-プロリン(ProMA)を合成し、SerMA、ProMAの抗血栓性材料への応用・展開を試みた。PDMSとのブロック共重合に先だってこれらの生体親和性を検討した結果、これらを一成分とするポリマーは水中で表面にヒドロゲル層を形成し、フィブリノーゲンの吸着を抑制した。また血小板凝集を活性化するアデノシン二リン酸ナトリウム塩による凝集を強く阻害したことから、高い抗凝血性が示唆され、MPCと同様に調整したポリ(SerMA)とPDMSのブロックコポリマーフィルムは血漿タンパク質の吸着および血小板の粘着・凝集を高度に抑制した。
|