研究概要 |
1)ポリジメチルシロキサン(PDMS)系アゾ開始剤VPSを用いてメタクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEMA)、メタクリル酸2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イルメチル(DMM)あるいはメタクリル酸5-(5-ヒドロキシメチル-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イルメチル(MDID)のラジカル重合を行い、HEMA、DMMあるいはMDIDのポリマーをそれぞれ親水性セグメントとしPDMSを疎水性セグメントとする一連のブロックコポリマーPHEMA-b-PDMS、PDMM-b-PDMSとPMDID-b-PDMSを合成した.さらに、PDMM-b-PDMSとPMDID-b-PDMSのフィルムは希塩酸で処理して、それぞれPDMMとのPMDIDセグメントをポリ(メタクリル酸2,3-ジヒドロキシプロピル)(PDHPMA)とポリ(メタクリル酸2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキシル)に変換し、対応するPDHPM-b-PDMSとPMDul-b-PDMSとした.ポリマーフィルムのXPS測定から、水中では親水性セグメントが表面付近に配向しており、水の接触角は親水性セグメントの増加とともに低下した。これらブロックコポリマーはポリジメチルシロキサンよりもアルブミンとグロブリンの吸着を抑制し、かつ血小板の粘着と活性化を抑制した. 2)材料表面へのMPCの固定化よって改善される生体適合性に関する知見を得るため、ポリエチレンテレフタレート(PET)表面をArプラズマ処理してMPCを後重合してMPCグラフト化PET(PMPC-g-PET)を調製した。PMPC-g-PETは未処理のPETよりもタンパク質の吸着を抑制し、血小板のモデル細胞として用いてマウス繊維芽細胞の吸着を高度に抑制した。また活性部分トロンボプラスチンによるヒト血漿の凝固をPMPC-g-PETが抑制し、凝固刺激系でポリ(MPC)鎖が凝固を抑制することを明らかにした。
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