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1997 年度 実績報告書

後期メルロ=ポンティ現象学と相対主義-存在概念と存在論的知覚論を軸にして

研究課題

研究課題/領域番号 09710006
研究機関中京大学

研究代表者

長滝 祥司  中京大学, 教養部, 講師 (40288436)

キーワード知覚 / 言語 / 語るパロール / 語られたパロール / 文化相対主義 / 存在 / 生活世界
研究概要

人間はじぶんが生を営んでいる世界(フッサールの用語にしたがえば、生活世界)の意味を様々な知覚器官によって認識している。それと同時に、言語もまた人間の認識活動の中心的な役割を担っている。そこで、認識をより強く左右するのは言語である(これは、サピア=ウォーフの言語相対主義的な仮説につながる)のか、それとも言語の影響を受けないような生まの知覚世界(メルロ=ポンティの存在概念やフッサールの生活世界概念と重なるものである)が存在するのか、ということが問題となる。論文「知覚と言語の共働」は、以上の問題に焦点をあてながら知覚と言語の関係という主題について、とメルロ=ポンティ現象学、言語相対主義、ソシュール言語論などを咀嚼しつつ論じている。メルロ=ポンティにかんしては、『知覚の現象学』のなかにある‘語るパロール'と‘語られたパロール'を取り上げた。かれの生涯を通じての中心的な関心が知覚と言語との関係(これを自然と文化の関係と言い換えることができる)を描いて見せることであったことを勘案すると、前期思想での言語をめぐるこれらの概念を考察することは後期思想を理解するための重要な鍵となるからである。本論文の結論を要約して述べると、言語が人間の知覚世界の認識に影響をあたえるという側面があると同時に、言語も知覚の認識を受け継いでいるということである。後者の見解は、観点を変えれば、言語の起源そのものが知覚器官と知覚世界あるいは両者の交渉のうちにある、ということを意味する。そして、言語の起源であるような知覚世界の存在を認識することは、メルロ=ポンティがその後期思想において描こうとしていた存在概念を言語という観点から再構築し、文化相対主義にたいするメルロ=ポンティーの後期思想の可能性を探るための基礎的な作業であった。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 長滝祥司: "知覚と言語の共働" 『月刊言語』. Vol.26・No.12. 108-113 (1997)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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