研究概要 |
予めコンピューターに入力されていた,パーリ聖典の中でも古層に属するスッタニパータの全単語の中から,母音を介在させずに直接,子音同士が連続する子音結合(パーリ語では子音結合を含まなくとも対応するサンスクリット語において子音結合を含む場合も含む)を含む単語を選び出し,その子音結合と対応するサンスクリット語の語形を入力したデータを作成しつつある.それにより,サンスクリット語と中期インドア-リアン語の代表であるパーリ語との音韻の比較研究に寄与することを意図している. 本年度においては,データ量が膨大であるためと,当初より2年間にまたがる研究予定であったため,その全単語についての対応サンスクリット語の入力は未だ完成していないが,これまで入力したデータから,パーリ語の子音結合とサンスクリット語のそれとは必ずしも規則正しく対応する場合ばかりではないことが明らかになりつつある.これまでに,パーリ語がヴェーダ語に連なる古い要素から新しい要素まで広範に包含する言語であることが指摘されてきたが,本研究から明らかにされる知見からそのことが裏付けられることになるのではないかと考えられる.
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