本年は、史料の収集に重点を置き、津軽藩、出羽国羽黒山、会津藩関係の調査を進めた。 まず津軽藩関係では、同藩東照宮歓請の由来を記す『御当家深秘録』類諸本の調査を行った。管見の限りでは、弘前市立図書館所蔵が9本、その他『上野東叡山津梁院開基之来由』(同蔵)、『東叡山法嗣の由来記』(国文学研究資料館史料館所蔵津軽家文書)が該当する。その大半について収集(電子複写または写真撮影)を終え、現在諸本間の関連や同書成立の宗教的環境に関して調査中である。 次に羽黒山関係では、東北大学所蔵の「羽黒修験関係資料」約400点(内容については岡田重精氏が『東北文化研究室紀要』第4集、1962年、に納めた「目録」参照)の内、明治以降の文書、写真、標本等を除いた近世文書の中の約130点の調査を行った。これについても、内容の分析を進めている。 会津藩関係では、福島県歴史資料館所蔵の文書の調査を行い、その成果に基づき口頭発表を行った(「会津藩における東照宮信仰と修験」1997年11月9日、日本山岳修験学会第18回大会、於愛媛県西条市総合文化会館)。現在、当日の議論も踏まえた論文作成を手がけている。 その他、仙台市立博物館が管理する仙岳院文書、秋田県鷹巣町の内館文庫所蔵資料についても予備調査を行った。二年目は、こうした方面へも調査・研究を進めていきたいと考えている。
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