本年度は、インドネシアの伝統的民族楽器であるガムランの貴重なアンティークを多数所蔵しているインドネシア国立芸術大学デンパサール校民族楽器博物館Lata Mahosadiの全面的な協力を得て、Lata Mahosadiの所蔵する40種のアンティーク・ガムランのなかから、複数年代にわたる8種のアンサンブルを選択し、アンティーク・ガムランの楽器音の超広帯域録音、および演奏風景の超高精度映像収録を、現地バリ州において行った。 これらの収録にあたっては、平成8年度の研究において構築し、実績のある高速標本化1ビット方式による超広帯域デジタル録音システム(現有)と、最新鋭のハイビジョン記録システムとを用いた。 記録した音資料について、高速フーリエ解析(FFT)と最大エントロピー法(MEM)を応用したゆらぎ構造の解析をおこない、周波数パワースペクトルの分布とその時間的変化を検討した。その結果、人間の可聴域上限(20kHz)を大幅に上回る豊富な高周波数成分が含まれていること、それらの高周波数成分は非定常性のたかいゆらぎ構造を有していることが見い出された。 さらに、同一の素材をハイビジョン方式におる高精彩画像とNTSC方式による画像とで再生した場合の視覚情報が視聴者におよぼす生理的影響の評価についての映像呈示実験について、その手法の検討を行った。
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