研究概要 |
本研究は,1.視覚共鳴反応説による“いわゆる乳児模倣"の現象の説明,2.視覚共鳴反応と模倣との発達的な関連性の検討,3.感情を交えた表情の模倣が成立する際のメカニズムの解明の3つの目的を検討すべく計画しました。 このなかで,本年度前半は実験のための刺激作成とその定量化を計画しておりました。まず,実験準備として,喜び,悲しみ,怒り,驚きの4種類の感情を交えた顔の表情についてのビデオ映像刺激を撮影しました。3名の女性による顔の表情のジェスチャーの中から喜び,悲しみ,怒り,驚きの表情の中から最も標準的であると判断されるものをブラインドテストによって選択し,最も肯定的な判断が多かったものを選択しました。現在,これらの表情の中から,モデルの左右の目,左右の口角,口唇の上下につけたマーカーの運動量を測定し,4種類の感情を交えた表情における,目と口唇の動きの典型的な動きを決定する作業を終えつつあります。 今年度後半の研究計画では,以上に引き続いて,健康な乳児に対して,2カ月,5カ月,8カ月の時点で実験を開始することになっておりました。しかしながら,年度途中での異動(平成9年12月名古屋自由学院短期大学退職,平成10年1月づけで宮崎大学教育学部に採用)となり,実験の開始を遅らせざるを得なくなりました。現在,宮崎医科大学周産母子センターの協力をとりつけ,実験にはいろうとしています。 異動のため研究計画の遂行はやや遅れておりますが,その反面,前述のとおり宮崎医科大学周産母子センターの協力を得られるようになったため今後の研究計画はスムーズに遂行できるものと考えております。
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