平成9年度は、縦断的調査の準備として調査対象者の住所および思春期の身体的発達タイミングに関するデータベースを作成し、質問紙調査票を作成、郵送にて実施した。平成10年2月にデータ入力を終了し統計解析を開始した。現時点での主な横断的解析結果は以下の通りである。 1.自己価値感(Rosenberg Self Esteem)については、男女ともに発達タイミングによる明確な差は認められず、学年があがるとともに全般的に自己価値感が高くなっていた。 2.抑うつ傾向(Beck Depression Inventory)については、男子では晩熟群のほうがオンタイム群・早熟群よりもやや強い傾向にあったが、女子では早熟群、オンタイム群、晩熟群の順に強かった。 3.摂食障害傾向(Eating Attitudes Test)は男子では発達タイミングに関係なく、女子においても発達タイミングよりも学年による差のほうが大きかった。しかし、早熟群において問題摂食がやや高い傾向が認められた。 以前の調査結果と比べると思春期前期よりも中期では身体的発達タイミングが心理的適応度に及ぼす影響は全体的に小さくなっていることがわかるが、適応の領域によっては有意な影響が認められた。(攻撃性への影響については現在解析中である。) 今後の研究計画 本年度の調査による横断的解析結果と平成6-7年度の調査結果を合わせて縦断的解析を行う。
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